うえにょっき

噺はまくらが一番大事

「死神」de落語入門

ある時から落語にハマっている。

アニメ「昭和元禄落語心中」

の人気もあって、世間でもまた人気が出始めているらしい。

 

 

そこで、初心者が聞くべきオススメ落語を紹介したい。

結論から言うと、「死神」一択だ。

言わずと知れた古典落語の大ネタ中の大ネタである。

 

初心者にオススメしておいてなんだが、落語らしい滑稽話ではない(笑)

題名からも分かるように、少し気味が悪い噺(はなし)だ。

しかも、ちょっと長い(笑)

 

だが、このぐらい長くてシリアスな方が、

落語家の雰囲気や声質、噺の展開の仕方、間合いのとり方や言葉のチョイスが、落語全体の「味」におよぼす影響がよく分かる。

是非、いろいろな「死神」を聴き比べて欲しい。

 

落語は、噺の筋は大まかに決まっているものでも、落語家によってセリフが全く違う。

落語に馴染みのない人は驚くだろうが、同じ落語家でも、話す度にセリフは少しずつ違う。

彼らは、個々人でセリフを作り込んだ上で、アドリブなんかも入れながら噺を展開していくのだ。

 

しかも、「死神」にいたっては、最後のオチのパターンが何パターンもある!!

つまり、筋すら決まっていないのである(笑)

一言で言ってわけがわからない(笑)

しかし、だからこそ「落語」の奥深さがよく分かるに違いない。

くぅ〜そう来たかっ!!!と名人達に裏切られて欲しい(笑)

 

 

では、早速オススメの「死神」を紹介していこう。

 

まずは、アニメ『昭和元禄落語心中』。

そもそもこの物語自体が、

主人公の与太郎(後の助六)が師匠の八雲の「死神」に惚れて、落語家を目指すところから始まる。
若き日の八雲が「死神」を演じながら覚醒するシーン。

 

これだけではなんのこっちゃら分からないだろうが、

どうやら滑稽なお話ではないということだけは分かっていただけただろう。

 

 

次は噺の全体が分かるものをということで、

ここではあえて、落語家ではない千原ジュニアの「死神」を紹介したい。

千原兄弟のライブで兄のせいじに無茶振りされて、別の落語ライブで披露した「死神」を突然演じることになったジュニア。

本来は江戸落語である「死神」を関西弁で千原ジュニア風にアレンジしたものだ。

音声だけだが、落語に慣れてなくても圧倒的に聴きやすい。

うろ覚えながらも、さすがはトークのスペシャリスト。すべらんな〜

 

実はこのオチ、千原ジュニアが独自に考えたものだ。

本物の落語家の「死神」を聴いて、また千原ジュニアの「死神」に戻ってくれば、実によく考えられているということが分かるに違いない。

 

 

 

そして次は、笑点でもお馴染みの6代目三遊亭円楽の「死神」。

なんと言ったって、まくらから面白い。

この当時はまだ楽太郎を名乗っており、笑点好きにはたまらない歌丸師匠イジりも付いてくる(笑)

この人は、いくつになっても声が凛としていてかっこいい。

そりゃモテますわ〜といった感じ(笑)

 

 

最後に、昭和最後の名人とまで謳われた三遊亭圓生。

三遊亭圓生は、6代目円楽の師匠(であり、歌丸師匠の前の笑点の司会者)の5代目円楽の師匠にあたる。

『落語心中』の八雲のモデルの一人になったとも言われている人物で、十八番はもちろん「死神」だ。

 

あえてまくらが6代目円楽と近いものを選んだ。

まくらは、噺の演目によって、一門ごとあるいは人ごとに(ある程度)決まっている。
(立川談志や人間国宝・柳家小三治などはめちゃくちゃだが 笑)

聞いてみれば分かるだろうが、楽太郎の話し方が作り込まれているのに対して、

名人・圓生はかなりのらりくらりとやっている印象を受ける 笑

是非、圓生の表情や動きにも注目して欲しい。

 

どうだろうか。

実は、このオチが最もオーソドックスな「死神」のオチだ。

(正確に言えば、名人・圓生が演じたものが、「本物」と呼ばれるようになった。)

 

よく分からないという人もいれば、このシュールな感じがたまらないという人もいるだろう(笑)

私は、他の落語家には出せない名人・圓生だけの妖艶な魅力があると思っている。

それどころか、なんとこの名人、同じ演目ではほとんどセリフが変わらないことで知られている。

それを、ここまで自然に、作り込まれた風を一切見せずに演じるところが、彼が名人たるゆえんであろう。

 

 

まとめ

お気に入りの「死神」は見つかっただろうか。

個人的には、6代目三遊亭円楽のまさに江戸っ子という感じの声の張り方が大好きである。

実際、6代目円楽は下町出身の生粋の江戸っ子だが、関西出身の私からしてみれば、江戸っ子風の話し方を聞いているだけで何故か笑えてしまうのだ(笑)

 

 

 

おまけ

上では対比がわかりやすいものに絞ったが、本当はもっと紹介したいものがある。

おまけとして、人間国宝・柳家小三治と柳家喬太郎の「死神」をご覧いただきたい。

おまけというにはあまりにもすごすぎるのだが。

 

まずは、柳家小三治。

存命の落語家で唯一の人間国宝である。(歴史上3人目)

すべての落語好きからこの人だけは別次元と称される男の噺をご賞味あれ!

 

この動画ではまくらがないが、実は、「まくらの小三治」という異名を持つ。

本人もよく、噺が下手だからまくらばっかり喋っていると言っているほどだ(笑)

いやいや、何をおっしゃいますやらお師匠さん(笑)という感じだが、気になる人は他の噺で是非まくらを聞いて欲しい。

 

 

ほんとの最後に、熱狂的なファンを持つことで知られる柳家喬太郎。

この人は雰囲気が他の落語家と全く違う。

いや、臨場感ありすぎやろッ!!!と突っ込みたくなること間違いなしだ (笑)

 

 

最後に

それにしても、いろんな「死神」がありますね!

だからこそ、落語は奥が深い!

どんどん寒くなってきた秋の夜長、「死神」でも聴いてもっと寒くなってくださいな(笑)