うえにょっき

噺はまくらが一番大事

『寝ながら学べる構造主義』 感想

内田樹著。

構造主義の入門書として定番の一冊だ。

寝ながら学べる構造主義 (文春新書)

寝ながら学べる構造主義 *1

 

 

文句なしにわかりやすい。

そして、哲学なんかに興味がなくても面白く読める。

くだらない解説はもはや不要。

この本がいかに面白く、我々の常識や考え方を揺さぶってくれるかは「まえがき」を読めば分かる。

曰く、

入門書が提供しうる最良の知的サービスとは、「答えることのできない問い」、「一般解のない問い」を示し、それを読者一人一人が、自分自身の問題として、みずからの身に引き受け、ゆっくりと噛みしめることができるように差し出すことだと私は思っています。

この本は「私が知っていること」よりもむしろ「私の知らないこと」を中心に書かれています。

「私が知っていること」には、かなり私の個人的な趣味嗜好による偏向がありますが、「私の知らないこと」、つまり「私がそれと取り組むことを避けてきた、一般解のない問い」は、二〇世紀後半の日本社会を生きてきたおおかたの日本人読者と共通するもののように思えるからです。

こんなことをいう人の書く文章が面白くないわけがない。

*1:文春新書